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目の奥の鈍痛と頭痛
~40代女性のケース

症状
今回のご相談者は40代女性。
普段、頭痛を感じることはないそうですが、
急に左目の奥と頭が痛み出し
痛みで何にも集中できず
非常につらいとのことでした。

検査
全身の触診を行った時、
最も気になったのは
両腕の筋膜の慢性的な収縮でした。

まるで、縮んで伸びなくなった
アームカバーを着けているような状態です。

アームカバーは頭までつながっていて、
伸びない腕の部分(収縮)が
肩・首・頭を引っ張り込むことで
目の奥の痛みと頭痛を引き起こしていました。

施術
目の奥の痛みと頭痛を緩和するために、
伸びない両腕の筋膜を
正常に伸びるように調整しました。

この時点で目と頭の痛みのレベルは
最初の半分程になっていました。

その後、首にも
両腕と同じような収縮があることがわかり
同様に調整したところ、
目の奥の痛みと頭痛は治まりました。

後日経過を伺ったところ、
施術直後は湯あたりしたような
全身の重怠さを感じたそうですが、
時間が経つにつれて気分が良くなり、
普段なら疲れてしまう買い物も
スムーズに済ませることができ、
自宅に戻った後も機嫌よく家事がはかどり、
自分でもびっくりするぐらい元気になった
とのことでした。

また、その後は目の奥の痛みと頭痛も
再発はしてないそうです。

解説
痛みが出ている部分には
何らかの問題は生じています。

しかし、その痛みが出ている部分に
その原因があるのかと言えば、
それは調べてみなければわかりません。

人体は骨格だけでなく、
張力によって体の形を維持しています。

この張力バランスによって
全体の構造が保たれるシステム
「テンセグリティ」呼びます。

この女性の場合、普段は頭痛を感じたことは
なかったとのことでしたが、
両腕の収縮によって引き込まれた頭の方も
収縮することでバランスをとっていました。

腕と頭の両方が収縮することで
ベストではないけれど、
一応のバランスがとれている間は
痛みは感じていなかったのですが、
何かのきっかけでこのバランス
(テンセグリティ)が崩れ、
痛みを感じるようになったようです。

両腕がそんなにも収縮していたことに、
ご本人は全く気づいていませんでしたが、
体の中の筋膜という組織では
日常的に起こる現象です。

補足
筋肉の緊張は、張りや腫れが表れるので
わかりやすいのですが、
特に「筋膜の慢性的な収縮」は
自覚症状もあまりなく、
見た目も触感もあまり主張がないので
ご本人でもわかりにくいことが多いです。

両腕全体の筋膜が長く収縮し続けたことで、
連続する肩・首・頭の筋膜も引き込み、
特に左眼の奥の骨膜全体も収縮している様子でした。

骨膜の収縮は「強い鈍痛」を生じます
特に膜性の骨である頭蓋骨の骨膜は
収縮しやすい傾向があり、
頻繁に(特に薬が効きにくい)
頭痛を引き起こす原因となります。