ビオハーツ院長の央です。
今回は私自身が体験したケースです。
まだ学生の頃(その時点で20代後半)
アメリカで開催された
オステオパシーのセミナーに
参加した時の事です。
アトランタから車で数時間離れた山奥の
室内にまでサソリが出没する
自然満載なコテージに泊まりながら、
4日間のセミナーを1日の休憩を挟んで
2つ続けて受けるという強行軍でした。
その後半の最終日の前日。
その日は胸郭がテーマでした。
心臓を収める両肺の間の縦隔、
心臓を覆う心膜や、
肺の入り口である肺門の
検査と調整を学びました。
学校では全く扱われていなかった内容で、
こんなところにもアプローチできるのか!
と驚きと喜びでいっぱいでした。
その日の夜はなんだか寝付けなくて、
そうだ、せっかくだから
今日学んだことを復習しようと思い、
ベッドで横になったまま
自分の胸郭で色々試してみました。
そして翌朝。
なぜか朝起きた瞬間から、しゃっくり。
しゃっくりなんて久々だなーと思いつつ、
しばらく放っておいたのですが…
朝食が終わっても
講義が始まっても
昼食が終わっても全く止まらず…
最終日だというのに
講義中ずっとしゃっくりが出続けてました…
講義を録音していた人たちもいたので
非常に申し訳なく思いましたが、
どうにもなりませんでした…
受講者はオステオパスをはじめ、
現役のマッサージセラピストや
理学療法士や鍼灸師ばかりなので、
休憩時間に何人か診てくれたのですが、
残念ながら一切効果はなく、
結局、講義が終わっても
しゃっくりは全く止まらず。
講義は昼過ぎには終わり、
その後アトランタの市街まで
日本から一緒に来た友人と一緒に
車で送ってもらったのですが、
2時間近くも乗っていたのに
その間もずっとしゃっくり…
その日の夜はアトランタの市内で一泊し、
翌日の飛行機で帰国する予定でした。
夕方にはアトランタに到着したので、
せっかくだから観光しようということで
ホテルにチェックインして荷物をおいて、
友人とタクシーを呼んで中心街へ。
もちろん、しゃっくりは止まってません。
しゃっくりしながらも
街中を歩き回り、十分堪能した
(というかしゃっくりで疲れ果てた)ので
夕食を食べて戻ろうと店に入りました。
異国の地での長期間に渡る
研修の打ち上げということで、
普段滅多に飲むこともない
冷たいビールをオーダーしました。
そして乾杯し、一口飲んだ瞬間…
それまでどうやっても
全く止まらなかったしゃっくりが
いきなりぴたりと止まったのです。
ビールってすげぇぇ!!(イヤ違うだろ)
しゃっくりが止まったことが嬉しくて、
帰りのタクシーの支払いをした時に、
ホテルからの行きのタクシーで
かなりぼったくられていたと気付いても
仏の心で許せました(´ω`)b
それにしても、
水を飲むなどの方法は散々試して
全く効かなかったのに、
なぜ冷たいビールでは効いたのか?
その時はよくわかりませんでしたが、
今解釈するならこんな感じです。
一般的な情報
しゃっくり(吃逆=きつぎゃく)は
横隔膜や呼吸筋の痙攣(不随意収縮)と
それに伴う声帯が閉じる動きによって起こります。
通常は一過性の症状なので
数分~数十分で止まりますが、
48時間以上続く持続性吃逆や
一ヵ月以上続く難治性吃逆の場合は
病理的な原因が考えられます。
しゃっくりにも種類があり、
「中枢神経性」
「末梢神経性」
「横隔膜性」
などがあります。
通常、食事の時に起こるしゃっくりは、
胃に食べ物が一気に入ったことで
胃の上の横隔膜が物理的に刺激されて起こる
一過性の横隔膜性のしゃっくりです。
解剖生理学的な見解
まず、しゃっくりが発症した原因ですが、
最終日前日の夜に寝付けず、
習ったばかりの胸郭のテクニックを
試し過ぎたことがひとつの要因です。
特に縦隔の検査が気に入って
延々行っていたのですが、
自分に対してだとうまくフォーカスができず、
不必要に負荷をかけすぎた可能性があります。
その負荷が心臓と肺の間のを走る横隔神経と
横隔神経を包む周辺の筋膜に
負荷を与えたこと起こった小さな炎症が
筋膜の収縮を引き起こし、その収縮によって
物理的に横隔神経が常に刺激され続ける、
という状態が起こりました。