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飛行機

ビオハーツ院長の央です。

今回は私自身が体験したケースです。

オステオパシーの学生時代、友人と一緒に
何度もアメリカに研修に行きました。

この研修自体は
毎回非常に楽しかったのですが、
移動の飛行機がいつも憂鬱でした。

特に、着陸の時が。というのも…

なぜか右耳だけ耳抜きができず
とにかく痛いし、聞こえなくなるという
症状がしばらく残ることがあったのです。

ある研修でアメリカに向かった時も、
飛行機が着陸体勢に入ると
気圧の変化で耳に痛みと違和感
が。

何度も耳抜きしてみますが、
やはりどうやっても右耳だけはダメ。

どんどん痛みが増していき、
全く音も聞こえないくらいに…

気圧変化で耳が痛くなるメカニズム
地上での気圧を1気圧とすると、
飛行中の飛行機の中の気圧は
0.7~0.8気圧となり、
耳の中の気圧も同じになります。

しかし、急激に着陸の際に
急激に高度が下がることで
耳の中の気圧が外気圧の変化に追いつかず
気圧の差で鼓膜が圧されて痛みが生じ、
また空気の通り道である耳管が狭窄して
耳の不快感が起こります。

基本的な耳抜きの方法
耳の不快感を解消する
耳抜きの方法としては、

  1.  内圧を高める(バルサルバ法)
  2.  唾や液体を飲み込む(フレンツェル法)
  3.  鼻の通りを良くする
  4.  蒸気で耳管を緩める

などがありますが、
当時は1と2しか知りませんでした。

そして、通常であれば
耳抜きで耳管が開くことで
鼓膜の内外の気圧は均一化し、
不快な症状は解消される…はずなのですが、
私の場合は軽度の耳管狭窄症で、
右耳だけ耳抜きができず、
地上に降りても耳の痛みや違和感や
頭痛などが続くことがよくありました。

触診から解決法を考える
あまりに痛くてつらいので、
痛みに悶えながら自分で触診してみると、
右の頬骨と側頭骨が強力に固着しており、
まずこれが耳管を閉塞させている
要因のひとつだと考えました。

手技で頬骨と側頭骨の制限を解放すると
周りの組織からのノイズが消えたおかげで
右の耳管が閉塞している様子が
なんとか触診でわかるようになりました。

理屈から考えて、
耳管が開いて空気が入れば
気圧差は修正されるはずです。

そして耳管が閉じているなら、
耳管に伝わる張力と
内圧上昇による拡張力のフォーカスを
耳管に集中させることで
耳管を開けられるかもしれないと考え、
首を左右に傾け回しながら
耳管に張力が伝わる状態を作りました。
(写真はその状態のイメージです…)

首の傾き

そして、
最も耳管に張力が伝わる状態を維持しつつ
バルサルバ法で耳抜き
をしたところ、
それまでどうやってもできなかった
右耳の耳抜きがやっとできたのです。

と書くと分かりにくいですが、
耳の前・頬骨の上を触りながら、
頭と首を左側に回しつつ曲げて、
最も中の張りが高まる位置を見つけ、
その位置で耳抜きを行いました。

全体から捉えなおす
頭を大きく傾けないと
右だけ耳抜きができないということは、
それだけ左右の対称性が崩れている
という意味ですが、それは単純に
頭だけの話ではありません。

特に頭や顔や首は、
首より下からの影響を強く受けます。

この時は頭と首だけでなんとかなりましたが、
左右差が完全に解消された訳でもないですし、
頭痛や顔の歪みや首の痛みなどで
頭や首を何度か調整しても
変化が思わしくない場合、「部分」ではなく
「全体」から捉えなおす必要があります。