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帝王切開創による呼吸もできない下腹部痛

今回のご相談者は40代女性。

数年前から月に数日間だけ、
下腹部に痛みがでるようになり、
排卵痛かな?くらいに思っていたのが
最近急激に痛みが悪化してきたそうです。

その痛みがあまりにも強烈で、
一旦腹痛が始まるともう目も開けられず、
呼吸もできず、声も出せないので
隣の部屋にいる家族に
助けを求めることもできず、
一歩も動けずひたすらうずくまって
痛みが引くのを待つしかないとのこと。


一般的な見解

複数の病院の内科・婦人科を受診し、
内科では「異常なし」、
婦人科では「強めの排卵痛」だろうから
市販の痛み止めで大丈夫ですとのこと。

痛み止めを飲めば
確かに一時的には痛みは治まります。
しかし、完全に排卵が終わった後でも
同様の痛みがでているので
本当に排卵痛かどうかも不明です。


オステオパシー的な見解

痛み自体は微弱だったそうですが、
数年前には下腹部痛が始まっていたので
大きな怪我や手術の有無を確認すると
約十年前に帝王切開をしているとのこと。

真皮にまで及ぶような怪我や
手術による切開のは色が変色し、
触ると他の部分とは違う感触がします。

これは「瘢痕(はんこん)」といって、
損傷・欠損した組織と置き換わったもので
元々の組織とは異なるものです。

この女性の場合は下腹部に
横一文字の帝王切開痕がありました。

瘢痕組織は本来の組織と異なり
伸びや弾力があまりありません。

人の身体は筋膜と呼ばれる組織で
ひとつにつながっており、この筋膜が
正常な状態を維持できているかどうかが
非常に重要な要素となります。

この筋膜を風船に例えると、
瘢痕は、風船のゴムが癒着した部分で、
どれだけ一杯に空気を入れても
癒着した瘢痕組織は全く膨らみません。

更に、それでも膨らませようとすれば
癒着がある分だけ風船全体の伸びが減るので
通常より早く破裂してしまいます。

つまり瘢痕組織があると
その瘢痕組織にも強い負荷がかかると同時に
瘢痕組織の伸びが少ないために
正常な筋膜に通常以上に
余計な負担をかけることになります。

人は1日に約28000回呼吸しています。
呼吸によって体にかかる圧は意外と強く、
更に膨大な回数繰り返されるため、
瘢痕組織もそれ以外の正常な筋膜も
徐々に疲弊していき、
ケアしないと負荷が蓄積されていきます。

この女性の帝王切開痕にも
非常に強い負荷がかかっており、
骨盤内臓器にも緊張が伝わっていました。

しかし、瘢痕組織自体にはほぼ痛みがなく、
ご本人もまさか十年以上も前の
帝王切開痕が引き金になって
耐え難い下腹部痛が起こっていたとは
思いもしなかったようです。


ソウルケア的な見解

なぜ、出産後10年も経ってから
急激に下腹部痛が出始めたのでしょうか?

帝王切開の後、切開の強い衝撃が
出産という記憶と共に
制限として瘢痕組織に残りました。

また母親と子供は生まれてから約10年は
エネルギー的に繋がっています。
出産から丁度10年が経過し、
徐々に子供が親から離れて自立しはじめ、
母親も新たなステージに移行する時期です。

新たなステージへの移行に対する不安や
子供が親離れしていくことへの抵抗で
急激に痛みが出始めたようです。


実際に行った処置

帝王切開痕に残った古い制限を
細かく丹念に除去し、
瘢痕組織内の制限を細かく解放することで
固まりきっていた手術痕に生気が戻り、
腹部の緊張が大幅に緩和しました。

後日確認したところ、
下腹部痛はまだ多少でるけれど、
痛みの強さは以前とは比較にならない程
軽くなっているとのことでした。

痛みを引き起こしていたのは、
肉体的な制限ももちろん関係しますが、
思考や感情が停滞パターンも
大きく影響する可能性があります。

特に親子の関係で問題を抱えている方は、
その思考や感情のパターンに意識を向けて
なんらかの気付きを得ることで
次のステージにスムーズに進めます。